金型設計について

(1)金型表面

非強化グレードは溶融時の粘度が低いため、金型表面の転写性が高くなります。そのため、仕上がる製品に合わせて、金型表面を精密に仕上げてください。 一方、強化グレードは転写性が低くなるため、成形品表面は若干曇ったようになりますが、射出速度・金型温度を上昇させ転写性をあげることで解決することができます。

(2)抜き勾配

成形品形状の複雑さ・キャビティの深さ・成形品肉厚などによって異なりますが、抜き勾配が少ないと突き出し力の増加に繋がりますので注意してください。 一般的には2°以上の勾配をつけるようにしてください。

(3)突き出しピン

突出し時に成形品の変形・破損を起こさないようにバランスよく配置してください。またプレートの場合は、その面積を可能なかぎり大きくしてください。

(4)ゲート形状

ゲート断面積は十分に取ってください。断面積の小さい場合には、結果的に通常よりも樹脂温・射出圧を上げて成形することになり、成形品外観に影響(色ムラ、焼け等)をおよぼすことがあります。また、ゲート部の樹脂が早く固化するため、保圧が有効にかからないため成形品にボイドやヒケが発生することがあります。 強化グレードでは樹脂流動による摩耗がゲート付近で起こりやすいため、交換可能な入れ子構造にするなどの対策が必要になる場合もあります。

(5)エアーベント

成形時に金型内の空気を逃がさないと、圧縮ガスによる焼け、ウエルド融着不良、フラッシュ等の成形不良が発生します。特にガス発生量が多い傾向にある難燃グレードは注意が必要で、流動樹脂に空気が巻き込まれないように、流路先端部分やウエルド部分にエアーベントを設けるようにしてください。 エアーベントの厚みは金型によっても異なりますが、0.015mm〜0.020mm程度が目安で、これよりやや薄目から試して頂くことをお勧めします。(高流動タイプについては、バリがでやすいので、より薄目にしてください)

(6)金型の材質

1.材質線提示の留意点 ノバロイ A用金型材質は、下記の点に留意する必要があります。

  1. 1)ガラス繊維等による金型摩耗
  2. 2)難燃剤による金型腐食

難燃剤と共にガラス繊維が配合されている材料による金型の腐食と摩耗は次のように考えられます。

  進行時期 腐食性ガスの状態 金型の腐食と摩耗の状態 対策
腐食 射出成形中
流動 局部的:ガスの流れに沿ったピット発生 ガス抜き
保管中 滞留 全面的:赤サビ 防錆処理
摩耗 射出成形中   局部的:
ゲート周辺     
ウェルドライン周辺
キャビティーの凸コーナー部
入れ子
バリチェック
鋼材種類

2.ノバロイ A成形用金型鋼材

1)例えば次のような耐食性、耐摩耗性金型鋼材をお勧めします。

  1. 1.JIS規格 SUS420J2に相当する鋼材
  2. 2.鋼材メーカーのグレード
  3. UDEHOLM STAVAX(ESR)
  4. 日立金属 HPM31,HPM38
  5. 大同特殊製鋼 PDM555,NAK1010 (耐摩耗性←→耐食)

2)次のような各種表面処理による金型表面の硬度アップも効果があります。

  1. 1.チタンカーバイド(処理温度が高く金型に歪みが残りやすい)
  2. 2.イオンプレーティング TiN (窒化処理の数倍の硬度)
  3. 3.セラミックコーティング

図1.JIS規格成分と各社鋼材(各社資料参照)

図1.JIS規格成分と各社鋼材(各社資料参照)

**炭素繊維強化グレードは、外国為替および外国貿易法に基づく輸出貿易管理令別表第1の5の項目(18)に該当します。